FromNandの日記

自分的備忘録

車輪の国 向日葵の少女 その1

まずは自己紹介をしよう。
おれは森田健一(もりた けんいち)。
SF小説と姉貴が大好きだ。
いつも読んでる本の中で『日本』という国が出てくる。
あんたも知っているかもしれないが、面白おかしくて不思議な島国だ。

なにが面白いかって?

例えば現実じゃあ、人を殺したら『一生子供を持てない』罪を背負うだろう?
そして『特別高等人』というおっかねぇ連中の保護観察を受けることになる。

でも『日本』は違う。

人殺しは首吊って殺されるんだそうな。
もしくは十年か、二十年か、はたまた一生かわからんが・・・。
とにかく刑務所ってトコに入れられる。
刑務所は牢屋とか監獄ともいうらしくて、おれたちの国にはないものだから面白い。
この刑務所ってのが曲者で、人殺しも盗人も痴漢親父も、みんなココに入る。
犯罪者のテーマパークみたいな感じかな。

もう少し軽い罪・・・車のスピード違反なんかは国に金を払えばいいらしい。

首吊りか、刑務所か、金か・・・。

おれたちの国には罪に応じた罰が多種多様に細かく定められているけれど、日本には大きく分けてこの三つしかないらしい。

そんなんでヒトが更生するのかって、おれたちなんかは思うだろう?

・・・まあ、逆に、人殺しに子供を持てないようにするだけで世の中は大丈夫なのかと、問い詰められたら怪しいもんだ。

利己的な遺伝子がどうとか、犯罪形而上学がどうとか、宗教的とか自己の対立とか言ってる頭の偉い人たちが決めた法律に、おれたちはなんとなく従っている。

・・・なんとなく・・・ってのは『日本』にいる人たちも一緒なんだろうな。
だから、もうすでに決まっている法律や制度については、おれもよく語れない。
問題は『日本』にしろ、この『国』にしろ、そんな世の中でどうやって生きていくのかと。

俺みたいなぺーぺーが、どうやって姉貴と愛を結ぶのかと、そういう話だ。






ー近い未来、そう遠くない場所ー






・・・。






後ろを振り返らずに歩くこと六時間。

田舎ってのは少なからずバスが通っているもんだ。
ど田舎じゃあ、いい感じの爺さんがトラックの荷台に乗せてくれるかもしれない。
だが、おれの故郷は、田舎というよりむしろ秘境。